寝ホンとしての完全ワイヤレスイヤホン比較(2022年更新)

2022年10月に Apple Airpods Pro (第1世代)Apple Airpods Pro (第2世代) に置き換え、さらに Anker Soundcore Sleep A10 を追加し、記事を再構成しました。

寝ホンとは

イヤホンの本来の目的と言えば、他の人に音を漏らさずに音楽を聴くことにあると思いますが、ここ最近はいろいろな理由から寝るときにもイヤホンをする人が増えてきます。

例えば、寝つきが悪く睡眠導入を目的としたり、近隣の騒音からの音を妨げるためイヤホンをつけて寝るなどがあります。

寝るときにつけるイヤホン(寝ホン)はこれまでもありましたが、有線イヤホンでケーブルが邪魔に感じたり、そもそも周りの音を妨げることができなかったりで、万人に適しているイヤホンがなかったのがこれまででした。

私もこれまでは寝ホンではなく、長い間耳栓を使っていました。通常であればこれで問題ないと思います。しかし、この耳栓を突き抜けていびきが聞こえるようになり、違う方法として寝ホンを検討するようになりました。

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寝ホンとしての完全ワイヤレスイヤホン

イヤホンは時代と共に変わっており、小型バッテリー技術の向上によりケーブルのないワイヤレスイヤホンが誕生したり、遮音技術の向上によりアクティブノイズキャンセリング (ANC) が登場したりなど、目まぐるしく進化を遂げています。

では寝ホンに必要な条件とはどのようなものでしょうか。これは人や目的によって様々ですが、大きく次のようなものが挙げられるでしょう。

  • イヤホンのサイズ
  • 遮音性
  • 再生可能時間
  • 価格
  • そのほか

例えば睡眠導入を目的としているのであれば再生可能時間は短くても大丈夫ですし、周りの騒音によっては遮音性がそこまで強くなくてもいいこともあるでしょう。

イヤホンのサイズが小さいに越したことはないですが、耳のサイズは人によってそれぞれですので、少々大きくても大丈夫な人もいるでしょう。イヤホンのサイズが大きくなると、その分バッテリーが大きくなり再生可能時間が長かったりなどメリットがあります。

また「そのほか」としているのは、イヤホンによってはバッテリーが切れる前に音声案内があったり、イヤホン操作時の誤作動などがあります。

検証したイヤホン

今回検証に使用したイヤホンは次の5つです。

本当は他にも気になっているイヤホンがあったのですが、高いイヤホンが多いので区切りをつけるべく、上記の中から私なりの結論を出しました。

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先に結論を

私が寝ホンを利用する目的は、いびきを掻き消すためです。突然鳴り始まるので、就寝中常時遮音性が必要です。

上記を目的とした場合、私なりの結論としては現時点での理想は

です。しかし普段から6時間以上の睡眠をとっている場合は、実は現在の性能においては一台だけでは事足りていません。詳細については下記で紹介しますが、さらなる性能の向上が求められます。もう少し付け加えると、Apple Airpods Pro (第2世代) の2台持ちは理想であり、現実にはもう一台の Apple Airpods Pro (第2世代) を購入する余裕がないので、次の組み合わせで利用しています。。。

それではそれぞれを比べてみましょう。

イヤホンのサイズ

寝ホンにとって一番重要なポイントは、イヤホンのサイズです。大きすぎると寝ることすらできないので、気にならない程度な小ささが必要です。

小さい順に並べると次のようになります。

  1. Bose Sleepbuds II
  2. Anker Soundcore Sleep A10
  3. Apple Airpods Pro (第2世代)
  4. Anker Soundcore Life P3
  5. SONY WF-1000XM4

Bose Sleepbuds IIAnker Soundcore Sleep A10 は寝ホンとして開発されただけあって、寝るときに全く気にならないサイズです。横を向いて耳を枕につけて寝ても圧迫されることがなく、またどんなに寝返りを打っても外れることもないので、朝まで安心して付けていられます。

Apple Airpods Pro (第2世代) は完全ワイヤレスイヤホンの中では小型です。私の耳は普通サイズ(だと思ってます)であり、横を向いて耳を枕につけた状態になると若干気になりますが、痛みを感じるほどではなくそのまま寝ることもできる程度です。ただし標準のイヤーチップでは、寝ている最中に耳からイヤホンが外れやすいです。そのため、社外製のイヤーチップをつけることでしっかりと装着することができます(遮音性も上がります)。

Anker Soundcore Life P3Apple Airpods Pro (第2世代) より少しだけ大きくなります。横を向いて寝たとき若干気になりますが、上を向いて一度寝てしまえばあとはそこまで気にすることはないと思います。ただしサイズの分、寝ている最中は Apple Airpods Pro (第2世代) よりも外れやすいです。

SONY WF-1000XM4WF-1000XM3 よりコンパクトになったものの、他の3つと比べると大きなサイズです。上を向いて寝たとしても、普通の人であれば頭を少し傾け寝るときのベストポジションを探すと思いますが、頭を少し傾けただけでイヤホンが邪魔に感じます。横を向くとなれば痛みすら感じるので、私の耳のサイズには合いませんでした。

遮音性

騒音を掻き消してくれる遮音性は、寝ホンの重要なポイントです。特に ANC の性能に寄るものが大きいです。睡眠導入のみを目的としているのであれば、特に重要視することもないですね。

ANC の強さ順に並べると、つぎのようになります。

1. Apple Airpods Pro (第2世代)
1. SONY WF-1000XM4
3. Anker Soundcore Life P3
4. Bose Sleepbuds II
4. Anker Soundcore Sleep A10

Apple Airpods Pro (第2世代)SONY WF-1000XM4 は同率 1 位としていますが、どちらも強力です。都会の常時聞こえる低音のノイズは掻き消してくれます。音楽は再生せず、 ANC だけを効かせて静かに眠ることも可能でしょう。

一方、隣の人のいびきを完全に掻き消すことは、これらの ANC をもっても無理です。寝息が強い程度の雑音であれば和らぎますが、強いいびきに対しては「少し小さくなったかな」程度です。いびきの質にも寄りますが、「ちょっと我慢しようかな」と思えることもあります。いびき対策には、 ANC + 音楽再生が最も効果的です。

Anker Soundcore Life P3 は上記二台に比べると ANC の効果は弱いですが、それでも都会の喧騒に対しては十分効果があります。一方、いびきに対してはこちらも「少し小さくなったかな」程度です。こちらも ANC + 音楽再生が最も効果的ですが、音楽の音量はやや強めのボリュームがいいでしょう。

Bose Sleepbuds IIAnker Soundcore Sleep A10 はそもそもノイズキャンセリングではなく、効果音を再生して周囲の雑音をマスキングするイヤホンであるため、ここで比べること自体が間違っていますね。ただ単純に Bose Sleepbuds IIAnker Soundcore Sleep A10 を付けただけでは、雑音がなくなることはありません。いびきも直で聞くのとほぼ変わりありません。実際にいびきを掻き消すほどの音量というと、かなり大きなボリュームが必要です。既定の音量で使用していたところ、いびきが聞こえてきて起きてしまったことがあります。そのため、音量 Max で使用してようやくいびきが聞こえなくなりました。でも音量 Max で寝ると、その音のせいで何度か起きてしまっていました。。。ともに評判がいいイヤホンですが、私の目的には合わないと感じました。

再生可能時間

再生可能時間も寝ホンにとっては重要です。6 ~ 7 時間の睡眠をとるのであれば、この時間常に雑音が聞こえないようにしたいです。

再生可能時間が長い順に並べると次の順になります。

  1. Bose Sleepbuds II
  2. Anker Soundcore Sleep A10
  3. SONY WF-1000XM4
  4. Anker Soundcore Life P3
  5. Apple Airpods Pro (第2世代)

Bose Sleepbuds II はボディサイズが小さいのに 10 時間も持ちます。実際に 7 時間ほどの睡眠で朝まで充電が切れることはありませんでしたし、まだまだいけそうな様子でした。

Anker Soundcore Sleep A10 は Bluetooth 接続時は再生可能時間が 6 時間ですが、 Bluetooth 接続を解除した状態であれば 10 時間持ちますので、こちらも朝まで充電が切れることはないでしょう。

SONY WF-1000XM4 は ANC をオンにした状態で 8 時間再生可能です(ANC オフの場合は 12 時間)。こちらはサイズの関係上で 8 時間つけっぱなしにしたことがないので判らないですが、ボディサイズから考えると、それくらい持つのでしょう。

Anker Soundcore Life P3 は ANC をオンにした状態で 6 時間再生可能です(ANC オフの場合は 7 時間)。 こちらは実際に寝ホンとして使用しましたが、6時間程度再生できたので間違いありません。ただしこれには大きな欠点が。。。それはまた後の「音声案内」で紹介します。

Apple Airpods Pro (第2世代) は ANC をオンにした状態で 6 時間再生可能です。 こちらも実際に寝ホンとして使用しましたが、確かに 6 時間程度再生できました。しかし 6 時間では睡眠時間を全てカバーすることはできません。Apple Airpods Pro (第1世代) は 4.5 時間でしたので、性能が向上していますが寝ホンとしてはまだもう少し足りないかと思います。

価格

価格ももちろん重要なポイントです。快適な睡眠のためとはいえ、効果があるかどうかわからないものに大金を払いたくはないですよね。失敗すると私のように10万円近い大金を払う羽目になってしまいます。

安い順に並べると次の通りです。価格は Amazon での販売価格を表しています(2021/10/3時点)。

  1. Anker Soundcore Life P3 (ブラック 8,990円、他 9,990円)
  2. Anker Soundcore Sleep A10 (12,990円)
  3. SONY WF-1000XM4 (30,000円)
  4. Bose Sleepbuds II (30,000円)
  5. Apple Airpods Pro (第2世代) (39,800円)

Anker Soundcore Life P3 は、ほかと比べて飛びぬけて安いです。通常の用途で利用する場合においても、コストパフォーマンスが良いと言われているので、寝ホンのついでに通勤通学で音楽を聴くのもいいかもしれないですね笑。

Anker Soundcore Sleep A10 は、 ANC がない Bose Sleepbuds II と比べると圧倒的な安さです。しかも Bluetooth 接続し音楽を聴くこともできるので、 Bose Sleepbuds II を買うくらいなら Anker Soundcore Sleep A10 の方がいいでしょう。

それ以外はほぼ 3万円と高価な買い物になります。しかし、 Apple Airpods ProSONY WF-1000XM4 は完全ワイヤレスイヤホンの中でも優秀な部類ですので、音楽に興味がある方は購入しても失敗はないでしょう。

一方 Bose Sleepbuds II は、好きな音楽を聴くことができません。決められた音が流れるのみです。寝ホン以外にも、作業に集中するために利用している人もいるようですが、それだけに 3万円を払うのは勇気が必要ですね。巷では評判がいいですが、結果として Bose Sleepbuds II は私には合わなかったので残念です。

そのほか

イヤホンの操作

完全ワイヤレスイヤホンでは、通常イヤホン自体をタップしたり長押しすることでいろいろな操作を行うことができるようになっています。しかし寝ている最中に誤動作しては、寝ホンとしての役割を果たしてくれません。

SONY WF-1000XM4 には、タップ操作がありますがこれを無効化することができます。

Apple Airpods Pro (第2世代) にもタップ操作がありますが、これを無効化することができません。しかし Apple Airpods Pro (第1世代) の静電式と比較すると、 Apple Airpods Pro (第2世代) はボタン式なのでかなり改善されており、誤タップすることはないでしょう。

Anker Soundcore Life P3 は、タップ・ダブルタップ・長押しの 3つの操作を割り当てることができます。タップは操作を無効化できるものの、ダブルタップと長押しは何かの操作を割り当てる必要があります。寝ているときにイヤホンが外れそうで付け直そうとすると、長押しが反応してしまいます。そのため、長押しが反応しない箇所を摘まんで、イヤホンをつけ直す必要があります。

音声案内

Apple Airpods Pro (第2世代) は、充電が切れるときにピロピロと音を発します。控えめな音ですが、この音が鳴った時に目が覚めます。 また「結論」でお伝えしますが、私はこの音はそこまで気にしていません。

Anker Soundcore Life P3 は、 充電が切れる数十分前に「Battery Low」の音声案内が流れます。1回のみならず 2回も。音楽のボリュームよりも大きな音声なので、私は確実に起きてしまいます。

結論に至った理由

既に結論は述べた通り、私にとっての現時点でのベストは

です。再生可能時間を除けば、全てにおいて最高です。でも再生時間が 6 時間とわずかに短いので、それをカバーすべく 2台という結論です。私は眠りが浅いためか夜中に何度か目が覚めるので、そのタイミングで交換すればいいと思っています。それでも再生時間が長いに越したことはないので、いつになるか判らないですが再生可能時間が更に伸びた Apple Airpods Pro に期待したいです。

しかし現実的には Apple Airpods Pro (第2世代) を 2台持つ財力がないので、

の 2つを使っています。寝るときに Apple Airpods Pro (第2世代) を装着し、充電が切れるピロピロの音が聞こえたら、 Apple Airpods Pro (第1世代) に付け替えてまた眠りにつきます。 Apple Airpods Pro (第1世代) の充電が切れる前のピロピロが流れる前には起床しているので問題ありません。

もっと安く済ませたいのであれば、 Anker Soundcore Life P3 の 2台体制でいいかもしれないですね。「Battery Low」の音声が聞こえたら、もう一台のイヤホンに付け替えると。

人によって様々ですが、人より耳が大きく SONY WF-1000XM4 の装着に違和感がない人であれば、これ 1台で十分ですね。

Bose Sleepbuds IIAnker Soundcore Sleep A10 は巷では寝ホンとして評判がいいですが、強力ないびきに対抗するには大きな音量が必要になり、私にとってはその音量に耐えれなかったので対象から外れました。また Bose Sleepbuds II で定められた音しか出すことができないので、寝るときの気分に合わないこともありました。

まとめ

寝るときの状態は人によって千差万別ですので、私と異なった意見の方もたくさんいると思います。私自身「静かに寝たいな」と思うときは、耳栓を利用するときもあります。必ずしも寝ホンだけが優秀ということもないので、皆さんもいろいろと模索してみてください。この記事があなたの睡眠にプラスになれば幸いです。

今回紹介したワイヤレスイヤホン

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